「……ごめん、西内。俺……西内のこと傷つけたくなかったのに……」



俺はなにもしてやれなかった。



傷つけただけで、なにも。



「いまの華には、成くんが必要だよ。華をそばで支えてあげてほしいの」



西内は立ち上がり、メロンを地面に下ろした。



「だからね、これからはクラスメート……友達に戻ろ?」



「西内……」



「友達として、これからもよろしくね」



彼女はいつもと変わらない笑顔で。



「それが言いたくて呼んだの」



優しい笑顔で。



俺に別れを告げるんだ。



「じゃ……行くね?……バイバイ」



そう言って西内は笑顔を見せたあと、俺をその場に残して歩いていく。



“最初から成くんの気持ちは、全部わかってるって言ったでしょ?”



最初から最後まで。



いつだって俺のことを真っ先に考えてくれた。



どんなに優しくしてるつもりでも、好きになろうとしても。



結局は彼女を傷つけただけだった。



“砂歩の宝物”



そう言ってくれたのも、きっと俺のためなんだろう。



俺がつらくならないようにと。



自分のことよりも、俺のことを思ってくれる人だから。