砂歩の表情を見て、あたしは慌てて説明した。
「で、でも小さい頃の話だよ?」
「なーんだ。びっくりした」
「もう記憶もあやふやなくらい昔の話だってば」
「そっかぁ。なんか想像すると微笑ましいね。んで、ファーストキスは、成くん?それとも色羽くん?」
そっか。ファーストキス……になるのか、一応。
「それが……覚えてないんだよね。そのへんの記憶がホントあやふやでさ」
「覚えてないって……。ファーストキスなのに。なんていうか、華らしいね」
あたしのファーストキスは……確か幼稚園の時。
でも、もう昔のことで記憶がかなり曖昧だった。
あたしのファーストキスの相手が、ふたりのどっちだったかは、よく覚えていない。
幼稚園の園庭で遊んでいるとき、かくれんぼをしていて、
一緒にすべり台の上に隠れていたら、ふいに唇にチュッてされた。
それが色羽だったか、成だったか……。
セカンドキスは、幼稚園でお昼寝の時間に、布団で寝っ転がっていたら、
唇に、チュッてされた。
それも成だったか、色羽だったか……記憶が何ともあやふやだ。
でも、ふたりからキスされたのは確かだけど。