砂歩と教室へ向かう途中、廊下を歩いていると女子から視線を感じる。



色羽や成と一緒にいなくても、こんな感じだ。



聞こえてくる悪口。



「絶対、調子乗ってるよね~あの子」

「幼なじみだからって味方してもらえると思ってんじゃない?」



もうだいぶ慣れたけど、やっぱり気分はよくない。



「ちょっと!」



そう叫んだ砂歩は、廊下の隅にいた女子たちを思い切りにらみつける。



「さ、砂歩!やめてってば……」



「でも……」



「いこいこ」



あたしは砂歩の腕を引っ張って歩いていく。



朝からモメごとは勘弁。ましてや自分のせいで。



「はぁ……色羽も成も、ただの幼なじみなのにさ」



そうあたしが言うと、砂歩は急に立ち止まった。



「華……」



「ん?」



「ホントに幼なじみって思ってる?」



砂歩は、あたしの顔をじっと見つめる。