成と砂歩はもう、付き合ってから9ヶ月くらいになる。



教室で成と砂歩が、楽しそうにしゃべっている姿。



休み時間や昼休み、たまにふたりで教室から出ていく姿。



放課後、バイトが同じ日は、一緒に帰っていく姿。



ふたりの背中。



ふたりの笑顔。



最近のあたしは、それを見つめるのに慣れてきた気がする。



人って最初はつらく思っていたものでも、それが続くといつのまにか、どうにか慣れていくものなんだなって思う。



胸がまったく痛まないわけじゃない。



でもふたりが一緒にいるとこを見ても、「うん、そうだよね」とその光景を受け止めている自分もいる。



ふたりが付き合ってもう9ヶ月。



最初からわかっている答えを聞くために、砂歩を裏切ってまで自分の気持ちを伝えることなんてしたくない。



もし気持ちを伝えたら、成とあたしの今の関係も壊れてしまうかもしれない。



大事な人たち。幼なじみと友達を同時にふたりも失うなんて、やっぱり無理。



そう思っているうちに、幼なじみと友達が付き合っているということ……



その事実を時間の流れとともに少しずつ自然と受け入れ始めているのかもしれない。