結局、途中から自転車を押して、3人で歩いた。
「やっぱ3人乗りはムリあるね」
あたしが言うと、色羽はあきれたような顔であたしを見る。
「おまえが言うか、それ」
「ふふっ」
高校の正門が見えてきたところで、色羽と成よりもあたしは足早に先を歩く。
「じゃ、あたし先に行くから」
そう言って、あたしが走り出そうとすると、色羽の声がうしろから聞こえた。
「どーせ同じクラスなのに、なんでいつも先に行くんだよ?」
「そうだよ、華」
成も、あたしの顔を見つめる。
「だからさぁ……」
ふたりの顔を見て、あたしは深くため息をついた。
色羽も成も、なにもわかってない。
3人が幼なじみだってことは、学校のみんなが知ってる。
だけど3人で廊下を歩いてると、女子からの視線がつらい。
あたしが女子から嫌われてることに、ふたりは気づいてないのだろうか。
鈍感にもほどがありますけど。
それとも気づいてるけど、別に気にしてないとか?
あたしの身にもなってくれ。
「華~!おはよーん」
正門の前で手を振っているのは、同じクラスで、あたしの唯一の女友達。
西内 砂歩(にしうち さほ)。
「あたし、砂歩と行くから。じゃあねっ」
あたしは色羽と成に手を振り、砂歩の元へと走っていく。