「……おまえら重たい。降りろ」
川の橋を渡ったところで、色羽が急にブレーキをかけて自転車を止めた。
「成、交代。今度はおまえが、こげっ」
「え~色羽~」
「コラ。甘えた声出すな」
「華ちゃ~ん。色羽くんの目が怖いよぉ」
「ふふっ」
成は、あたしの背中に隠れた。
「あ、いいこと思いついた!チャリ押して、3人で歩いていこーぜ」
そう明るく成が言うと、色羽は成の背中に蹴りを入れた。
「てめぇ、ぶっとばす」
「ひょえーーー!」
ふざけるふたりを、あたしは笑顔で見ていた。
幼い頃から何も変わっていないこの感じに、胸の奥があたたかい。