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2日間の文化祭が終わり、いまは後夜祭の最中。



体育館の方から、バンドの演奏の音が聞こえてくる。



それに合わせて盛り上がる生徒たちの声も聞こえてくる。



グラウンドでも、あちこちで生徒たちが楽しそうに、はしゃいでいた。



「もう終わっちゃうのか……」



俺はひとり、電気もつけずに真っ暗の教室の窓から、外を眺めていた。



夜空には、いくつもの星が見える。



ふと、小さい頃に華の部屋の窓から3人で夜空の星を眺めて、流れ星を待っていたのを思い出す。



あの頃の俺は、なにを願っていたんだろう。



いまの俺の願いは……大好きなふたりが幸せでいること。



いつまでも3人の関係が続いていくこと。



それが俺の願いだろ……?



「アハハッ……もぉー!ちゃんと運んでよね?色羽」



窓の下を見ると、外で色羽と華が片付けをしながら、ふざけていた。



「うるせー。ブタ華」



「それ言ったら、今度から罰金取ろっかな」



「はー?罰金て」



「忘れないでよね?」



そうだよ。



忘れんなよ……俺。



俺の大切なものは、ひとつじゃない。



ひとつじゃないんだ。



なにやってんだよ。



いまさら迷うな。



揺れてんなよ。



しっかりしろよ。



もう引き返すには、なにもかも遅すぎる。