「色羽ー、なに食う?」
「んー迷う」
「じゃぁ、ロシアンたこやきはー?1コだけ超大量カラシ入りっ」
俺がニコッと笑って言うと、色羽は冷たく答える。
「いらねー。成ひとりで食えよ」
「えー?つまんないじゃーん。ひとりで食ったら全然ドキドキ感ないじゃんかぁ」
「おまえのドキドキ感とか、どーでもいいし」
「冷たっ!いつものことだけどっ」
俺が口を尖らせて言うと、色羽はフッと笑った。
「あ、色羽。カレーは?いい匂いじゃーん」
「うん。俺もいまカレー食いてぇ気分な気がする」
「気分な気がするって……なんか、ややこしいな。よっしゃ、決まり~」
俺たちは教室の中に通され、席に向かい合って座らせられた。
「いらっしゃいませ~」
エプロンをしたひとりの男子が、席に注文を聞きにやって来た。
「カレー2つ……トッピングとかあるんだぁ?なにしよっかなぁ~」
俺が悩んでいると、エプロンをした男子はニコっと微笑む。
「クイズに正解したら、トッピング無料。不正解ならモノマネ。どう?やる?」
「なにそのクソだりぃシステム」
そう言って色羽は、頬杖をついてため息をつく。
「俺やるーっ!」
俺はやる気満々で手をあげた。
「よし!じゃークイズ。うちの高校の開校記念日は?」
「えー?なにその激ムズ問題」
俺は口を尖らせて不満げな顔をした。
「ちなみに回答権は3回までだから」
全然わかんないって。
もうこうなったら、適当に言うしかないな。
「……5月16日」
「ブー!ハズレ」
「4月28日」
「ブッブーッ」
「4月4日」
「残念でした~」
俺は肩をガクッと落とした。
「成と俺と華の誕生日言っただけじゃん」
色羽は呆れたように言った。
「だってわかんないって~開校記念日なんてさぁ」
俺は机の上に突っ伏した。
「じゃ、モノマネお願いしまーす。お題はカレーを食べた、ふ○っしー」
そう言ってエプロンの男子は、ニコッと笑った。
「えー。しかもモノマネのお題そっちが決めるとかさぁ。聞いてないってー」
まぁ、しょーがない。やるか。
俺は席から立ち上がり、息を吸い込む。
「じゃー全力でやらさせていただきます」
そう言って俺は、深々とお辞儀をした。