「成……?なんでここに……?」



成の顔が赤いのは、気のせい……?



成はあたしから視線を逸らし、顔を背けた。



スッと立ち上がった成は、あたしの顔を見ずに小さな声で言った。



「こんなとこで寝てたら風邪ひくぞ」



そう言って成は、ズボンのポケットに手を突っ込んで、階段を降りていってしまった。



成の背中が見えなくなったあと、あたしは気づく。



あたしの肩には、成のブレザーがかけられていた。



夢じゃ……なかった……?



いや、夢か。



成があたしにキスするわけないよね。



あたしは指先でそっと唇に触れた。



「夢に決まってる……よね……?」



でも……



キスした感触が唇に残ってる――。