色羽は、家の前に止めてあった自分の自転車に乗ろうとする。 「ちょ……おい。色羽、チャリで行くのか?」 成が首を傾げて聞くと、色羽はあくびをしながら言った。 「ふぁああ~歩くのだるいし」 高校まで歩いて20分で着く。 いつも3人で歩いて通ってるのに、色羽はこうして時々ひとりだけラクしようとする。 「俺、チャリで行くから。おまえらは歩きでどーぞ」 あたしは頬をふくらませて、口を尖らせた。 「色羽だけ、ずるーいっ」