文化祭の出し物について話し合いが進められる中、あたしは砂歩の席を見つめる。
砂歩は、学校を休んでいた。
離れて暮らしていたおばあちゃんが病気で亡くなり、お葬式に出るためだ。
砂歩は夏休み中も、おばあちゃんのところに行っていた。
地元の夏祭りにも行けずに、夏休み最後のギリギリまでおばあちゃんのそばにいた。
夏休み明けの新学期に久しぶりに砂歩と会うと、
砂歩は想像していたよりも、元気そうな様子だった。
無理して明るく見せていたんだと思う。
あたしがおばあちゃんの様子を聞くと、砂歩は答えた。
『お医者さんに、もってあと2ヶ月くらいだろうって言われちゃった』
大好きなおばあちゃんの命の期限を言い渡された砂歩は、どれほどつらかっただろう……。
『どんどん弱ってくおばあちゃんを見て、覚悟しなきゃとは思うんだけど……心の準備って、どうすればいいのかなって』
あたしはあの時、なんて言ってあげればよかったんだろう。
つらい気持ちをどうにかわかってあげたいのに。
どんな言葉が正しいのかさえ、わからなかった。
なにも言えなかった。
大好きなおばあちゃんが亡くなって、すごく悲しいだろうな……。
頭では覚悟しなきゃって思っていても、心ってそんな簡単じゃない。
砂歩が戻ってきたら、今度こそ砂歩を支えてあげたいって思うのに。
なんて声をかけたらいいのか、やっぱりわからない。