急いで制服に着替えた。
メイクする時間は……ナイ。どんまい自分!
鏡の前に立ち、肩下までの黒い髪を束ねてポニーテールにする。
制服のリボンをきゅっと結んで、あたしは学校のカバンを持った。
「いってきまーす!」
靴を履いたあたしは、勢いよく玄関のドアを開けて外に出た。
「華」
自分の家に戻って制服に着替えてきた成が、
いつものように、うちの門の前で待っていた。
さっきまで寝ぐせでボサボサだった成の茶色い髪は、ちゃんとセットされていた。
「成、毛先が跳ねてるよ?」
「わざとだよーん」
「まったく。オシャレしちゃってさー」
「てへっ」
「“てへっ”じゃないよ」
「華は今日もスッピン?」
「時間なかったんだもん。あんたたちのせいでね」
「いーじゃん。十分可愛いって」
「うわぁー。うそくさっ」
成の茶色い髪は、少し毛先が跳ねていて、柔らかくてふわふわしてる。
なんだか……無性に触りたくなる。
「色羽のやつ、まだかな?」
「まさか家に戻って、また寝たとかないよね?」
「ありえるなぁーそれ」
――ガチャ。
その時、隣の家の玄関から制服に着替えた色羽が出てきた。