ふと部屋の時計が目に入る。
「ヤバッ!こんな時間じゃん!」
そうだった。ゆっくり話してる場合じゃなかったんだ。
「ふたりとも部屋出てって!着替えなきゃ学校遅刻しちゃうっ」
あたしは、布団の上に座ったままの色羽と成の首根っこを掴み、無理やり立ち上がらせた。
「はいはい。つーか見たって、別にたいした体じゃねーだろ」
おい、コラ。
あたしは色羽の背中を、右の拳で思い切り殴る。
「ふっ……色羽ひどくね?華も一応は成長してるっしょ」
なにその“一応”って。余計だっての。
「イテッ」
あたしは成の頭を後ろから、思い切りはたいた。
このふたり……完全にあたしを女として見てない。
そんなのは、ずっと前からわかってはいたけども。
「成長してねーよ、どーみても」
「色羽、もう一発殴ろうか?」
あたしは不敵な笑みを浮かべて、右の拳を握る。
小さい頃、3人で一緒にお風呂に入ったりもした。
あのときよりかは、成長してますけどっ!……少しはねっ!
「逃げろっ」
そう色羽が言うと、成もふざけながら舌をベーっと出して部屋から出ていった。
――バタンッ。
ドアが閉まり、あたしは怒りをなんとかこらえる。
「あんの……エロガキどもめっ!」