「大切にしなきゃって思うよ。でも西内はなんていうか、華や色羽に対する気持ちとは別のものっていうかさ……」



成は起き上がって座り直し、あたしと向かい合う。



成は両手で、あたしの頬を左右に引っ張った。



「俺たち3人、もう10年以上も一緒にいるんだぞ?過ごしてきた時間考えたら、おまえらふたり以上に大切に思えるものなんて、この先も出てこない気がする」



胸が苦しくて、涙が込み上げてくる。



「華?なんで泣いて……」



成は、頬から手を放した。



「ほっぺたつねるから……痛いじゃん……」



「うそ!ごめんっ!そんな強くしたつもりなかったんだけどな……」



「成のバカぁ……」



「え?なんだよぉ。ごめんて……」



「違うっ」



「え?やっぱり何かあった?色羽とケンカでもした?」



「なんもないってばぁ……ぅぅ……っ……っく……」



下を向いて涙を流すあたしの頭を、成は優しく撫でてくれた。