「……髪、伸びたね」
なにやってんだろう。あたし。
あたしは、成の髪から手を放した。
「あーそうかもなぁ」
「あたしが髪切ってあげよっか?」
「それ、本気で断る」
「ふっ……いいじゃん。いままでも何回か切ったことあるじゃん」
「成功したことないだろー?……ったく」
成は笑いながら、再び雑誌に目を向けた。
その見えない線を越えてしまったら、
もうただの幼なじみには、戻れなくなる。
いままで居心地のよかった場所。
いつまでも一緒にいたいと思ってたはずなのに。
この場所がいまは寂しく思えて、どうしようもない。
「ねぇ、成」
「ん?」
「あたしは、成にとってどういう存在?」
こんなこと聞いたって、答えはわかりきっているのに。
あたしは何がしたいんだろう。