「待って!成っ……ハァ……ハァ……」



あたしは膝を押さえて、道の途中で立ち止まった。



少し先で、成があたしの方に振り返る。



「もうバテたのかよ?ブタ華ちゃん」



「ちゃん付けで呼べば、許されるとでも思ってるわけ!?」



「ごめんなさーい!」



「コラー!成ーっ!」



あたしは逃げる成を追いかける。



「待ちなさいよぉーっ!」



「やだよーだっ」



追いかけても、追いかけても。



成の背中には、

きっと追いつけない。



成はひとりだけ、



遠いところに行っちゃった気がする。



あたしがどんなに頑張って走って、追いかけても。



成との距離は、きっと縮まらない。