「てか、なんで急に初恋の話?」



成は首を傾けて、あたしに聞いた。



「え?あぁ……別に深い意味はないの」



「ふーん」



いまさら色羽のこと聞きづらい。



「ところで、あたしをどこへ連れてくつもり?」



「駄菓子屋にかき氷でも食いにいこーぜっ」



そう言って成は、あたしの腕を掴んで走り出した。



草のにおいも、夏の風も、この町の景色はあの頃と何も変わってないのに。



あたしたちの心だけが変わってくね。



色羽は、初恋を想い続けて。



成は、終わった初恋を懐かしんで。



あたしは、やっと初恋に気づいた。