「こっち来い。」


そういった彼は長い足で歩き出した。


「え…ちょ…」

え、殴られるフラグ?

「…ちっ」

私が動かないことに苛立ったのか、足早に近づいてきたそいつはくっと私の腕を掴んだ。


「……髪、ふわふわ。」


見上げた綺麗な顔にかかる髪に思わずそう言ってしまった。


「…こい。」

目を細めた黒髪の人は、腕を掴んだまま歩き出した。


「え…わっ!歩く、歩くからそんな引っ張らないで!」