「…き…」


誰かが私の名前を呼んでる…


「…き…瑞希(みずき)!」


びくっ


「お姉ちゃん…」


私は大声で私の名前を呼ぶお姉ちゃんの声で目を覚ました。


「ほら、もう7時半だよ。起きな。遥斗(はると)くん来ちゃってる」

「ん…」


(もう7時半かー…昨日早く寝たのにな~…)


そう思いながら私はもぞもぞと布団の中で動き、起きる振りをしてまた寝る。


「全く…瑞希ももう高校生なんだから少しはしっかりしなさい」

「ん…遥斗部屋に呼んで…」

「はいはい」


(しょうがない。起きるか…)


重い瞼を擦りながら、私はベッドから下り、着替えに入る。


(もう高校生かぁ…)


今日は高校の入学式。真新しい制服を着ながら高校生になったんだなぁと改めて実感する。


「よしっ、準備完了☆」


鏡に向かってウインクをしたと同時に運悪く幼馴染みの遥斗が部屋に入って来た。


「!!」

「あ……」


鏡越しに遥斗と目が合ってしまった。


バタン


遥斗はドン引きした様子でドアを閉める。


「ちょ、おいおいおい。なぜドアを閉める」

「…何やってんの」

「え、えっと…(汗)あ!あれだよあれ!身だしなみチェック!身だしなみチェックしてたの!」

「ウインク必要?(笑)」


そう言って遥斗はわざとらしくウインクをしてみせる。しかもウインクができていない、半分白目でホラー映画並みの私のウインクの真似。


(あー…腹立つわー)


「…//べ、別にいいじゃん!遥斗には迷惑かけてないでしょ!」

「お前のブス顔見てしまった俺への代償は大きいぞ?瑞希」

「…//アンタ最低!遥斗なんか大っ嫌い!!」


バタンッ


(遥斗のやつホント腹立つ…!!)


私は遥斗を置いて部屋を飛び出し、わざと大きい音をたてて階段を下りながらリビングへと向かった。