兄貴に、他の女と幸せになれなんて、普通の神経で言えるのかよ!


バイバイって言って、泣かずにいられるのかよ!





嫌だった。


俺が、どうしようもなく嫌だった。




1人で、泣かせたくなんてなかったんだ。


だってあの子はもう充分1人で苦しんだと思う。




ずっと。

たった1人で、兄貴のこと見続けたんだ。







――そりゃ、もしかしたらダチとか、他の男とかいるのかもしれないけどさ。


でも、もしいなかったとしたらって考えたら。



もう、脚は止まらない。

腕だって止まらない。





なぁ、お前だってさ。



泣きたいときには泣いていいんじゃねーの?


苦しいって叫んでもいいんじゃねーの?





誰かにすがってもいいんじゃねーの?