朝と夕方。


あの子はいつもマンションの近くにいて、俺の部屋を見上げてる。




・・・と、一つ訂正。


俺の、っていうか、兄貴の部屋。



あの子にとっては、たぶんというか絶対そうなんだ。





涙溜めて。

唇噛み締めて。

握りこぶし作って。



それでも兄貴の部屋を見上げて、兄貴の姿を見てから去って行く。


決して兄貴に気付かれないように、だ。





一途っていうか健気っていうかバカっていうかアホっていうか・・・。



はーあ。

なんつーか、やっぱ兄貴最低だ。





つくづく思う今日この頃。


兄貴は凝りもせず、オンナをとっかえひっかえ抱いている。





そして兄貴がオンナを連れて部屋を出たり入ったりするたびに・・・


あの子は泣きそうな顔をするんだ。