「恭弥。」


「……え?」

「俺、あんたって名前じゃないから。」


王子はあたしを見据えて、そう言った。



「でも、そっちだって……」

「なに?」

「いえ、何でもありません。」


あたしの反論は秒殺されてしまう。



「だからさ、呼んでみ?“恭弥”って。」


そう言ってあたしの横にしゃがみ込む王子。


「えー……」


どうしても言わなきゃダメ?

と王子を見ると、ジーッと見つめられていることに気づく。