家の中は外見と同様、清潔感があってキレイだった。
そして、広い。
玄関から家の中を見わたすと、サーッとずっと奥に空気が通っていく感じがわかる。
ろう下が長くて、小さい子とかそこで自転車の練習ができそう。
ここ、あたしの家の倍は絶対ある。
……って、お父さんが一生懸命あたしたちのために働いて買ってくれた家なんだから、そんなこと言っちゃダメだ!
でも、安田くんの家となると緊張しちゃう。
「……澤上さん、どうしたの?」
緊張でガクガクしていると、不思議そうにそう訊かれた。
「いえ、なんでも!」
そう言うと、安田くんは優しく笑った。
「じゃあ、俺の部屋に案内するよ」
微笑んでおいでおいでをされたので、あたしはそれについていく。
安田くんは階段をあがり、2階についた。長いろう下を少し進むと「ここだよ」と言われてひとつのドアを指でさされた。
安田くんはさりげなくドアを開けて、あたしを中に入れてくれた。