「俺、安田は苦手なんだ」



そう思っていると、都築くんが舌打ちをしながら口にした。



「え、苦手?」



なんで?



安田くんはあんなにいい人なのに、と疑問に思っていると。



「安田ってさ……俺とキャラかぶってるだろ。だからイヤなんだ」



「……へ?」



都築くんはボソッと呟いてから、またパンをかじりはじめた。



キャラがかぶってる、って……あ、たしかにそうだ。都築くんも表の顔は王子様だし、安田くんは本当の王子様だ。



都築くんがイヤに思うのもしょうがないか。でも、安田くんはあんなにいい人なのになぁ。



「うーん、それでさ」



不意に、都築くんが言った。



この言い方は……なにかをたくらんでいるような感じ。あまり関わるべきじゃないよ、ともうひとりのあたしがささやく。



「……ナ、ナンデショーカ」



だけど無視するわけにはいかないので、なるべく都築くんの気にふれないように訊いた。



まあ、なんかカタカナみたいになっちゃったけど……。