「ってことで藤岡さん、今日もお昼休みは澤上さんを借りるから」
ひとりですねていると、都築くんが美奈ちゃんに言った。
美奈ちゃんは都築くんを見て、コク、とうなずく。
「うん。いいけど、あんま意地悪しすぎないようにね?」
いたずらっぽい笑みをうかべて言う美奈ちゃん。
……優しいんだかそうじゃないんだか。
「ほどほどにしておくよ」
都築くんはクスッと笑って言う。余裕ありまくりな感じだ。
うぅ、あたしはまたお昼を買いに行かなくちゃいけないのか……。
と、あたしが四苦八苦している間。
「……まあ、せいぜいがんばってね、都築。桃花はすっごい鈍感だから。わたしもがんばるけど」
「……はぁ。侮れねぇな、藤岡は。それも気づかれてるとか。せいぜいがんばるよ」
美奈ちゃんと都築くんの間にそんな会話があったことを、あたしは知らない。