都築くんは本を置いて、くるっとあたしの方を向いた。
「……?」
その視線は、肉食獣のように鋭い。
どういうことなんだろうと動揺していると、都築くんが言った。
「……俺の本性のこと、内緒にしてくれない?」
「……へ?」
いきなりすぎません!?
もしかして本を持ってくれたのって、あたしを図書室に入れてこの話をするため!?
っていうか、内緒にする、って……つまり、みんなに秘密にするってことだよね?
言われたからできれば秘密にしてあげたいけど、あたし隠しごととか苦手なんだよなぁ。
「ごめん、隠しごとにが……」
そこで途切れるあたしの言葉。
苦手、と言おうとしたんだけど、食い気味で都築くんがしゃべったためだ。
「えっと、昨日のLINEか。んーっと……委員会お疲れさま。今何してる? 自分の部屋でゴロゴロしてるよ。安田くんは? ユキと遊んでる……」
スラスラとしゃべっていく都築くん。
その手には、見慣れたスマホ。
都築くんのものじゃない。ピンクを基調にして、デコられているから。
うん。……それ、あたしの。