「ったく、危ないな……」
「……あっ」
本は落ちる寸前のところで都築くんの手に支えられた。
よ、よかった……危うく10冊全部落ちるところだったよ!
「ありがとう、都築くん!」
あたしは今度こそ、と思ってちゃんと本を持つ。
そして、ふと都築くんを見た。
────ニコッ。
都築くんから、聞こえるはずのない笑顔のできる音がした。
「危ないから、今度はちゃんと気をつけてね」
いつの間にか王子様スマイルをしていた都築くんが優しく言う。
この変貌っぷり、どうしたんだろう?
そう思ってあたりを見渡すと、あたしたちの近くを女の子が通っていったのがわかった。
あ、それでか……都築くんは本性がバレるのをイヤがってるみたいだし。