「ワン!ワンっ!ワァン!!」
背後からソラが激しく吠えるのが聞こえました。
キキキィー!!
自分の左側からも何か大きな音が聞こえたのは覚えています。
あとから振り返れば、あれは車が急ブレーキをかけた音だったのだと思います。
私がまだそれらの音を頭の中で処理できていないうちのことです。
突然右手が後ろから引っ張られ、私はドスンと尻モチをつく形で後ろに倒れました。
その直後、まさに私の目の前を、左から車が通り過ぎて行き、車は少し先で停まりました。
私の髪は車が通った風圧で少し乱れていました。
運転手さんが振り返ってこちらをにらんでいましたが、大きくクラクションを鳴らしてまたすぐに走りだしました。
「大丈夫ですか!?」
男の子が私の顔を上から覗き込む形で声をかけてくれました。
私は何が起こったのか、そのときは全く理解できていませんでした。