「照れたのかなあ……?」


うぇへへぇとか笑ってたのは一旦忘却するとして、照れたんだったらいいな、と思う。


和泉くんがそれだけ心を込めて書いてくれたんだってことだ。


恥ずかしいのは、和泉くんの、真心の裏返し。


机の上に置いていた封筒をそっと持ち上げて、ぎゅっと目をつぶって。


「い、いくよー……」


そろーりそろーり、中を覗く。


もう一つ、淡い緑の封筒が、そこにあった。


小さいそれをおそるおそる取り出すと、案外膨らんでいる。


たくさん書いてくれたに違いない。


無地の封筒、無地の便箋が和泉くんらしくて、何故だか嬉しかった。




あんなレポートを書いたことがないから何を書けばいいのか分からなかった。


だから凄く短い自覚はある。ごめん。


代わりと言っては何だけど、手紙を書こうと思う。




そんな書き出しで始まった手紙には、律儀に楠葵様、なんて書いてある。


綺麗に整った、どこか鋭い文字たちは、確かに和泉くんの筆跡だった。