『どこが嫌だったの』


どこが嫌だったの、だって?


「短すぎると思うんだ。素っ気なさすぎると思うんだ。うさぎって寂しいと死んじゃうんだよ知ってる和泉くん」


少し恨めしげに言ってみると、和泉くんの口調が若干和らいだ。


『知ってるけど。…寂しいの?』


穏やかに沁みる問いかけに、詰まる。


「…………」


てっきり和泉くんのことだから、


葵は兎じゃない、とか、

鼻で笑って、自分を兎にたとえるなんてどうなの馬鹿なの、とか言うかと思ったのに。


和泉くんは語尾にあんまり、?をつけないのに。


優しい寂しいの? に思わず本音が漏れる。


「…………寂しいですよ?」


だって和泉くん、あんまり好きとか言ってくれないから。


ううん、言ってくれなくてもいいの、でも和泉くん、相槌が短いから。


わたしはうるさいかな、とか、話しすぎかな、とか。


隣にいてもいいのかな、とか。


いろいろ、思ったりして。


それに和泉くん、本人に自覚はないけど、すごくモテるんだよ。


たまの優しさがすごく自然で、女心にクリティカルヒットするんだよ。


知らぬは本人ばかりなり、だよ。


うじうじするわたしに少し考えて、和泉くんは不思議な質問を寄越した。


『もしかして読んでないの?』