「ちょ、絵里、なに!?」

周りの人たちと同じように目をハートマークにさせている絵里の肩を揺さぶる。


「なにって胡桃!雄也くんだよ!雄也くん!え?まさか知らないなんて言わないでしょうねぇ!」

は、はい…?
雄也くん?
だれ?

「胡桃、雄也くんしらないの!?信じらんな〜〜〜い!」



「知らないよ!だれなの?」


わざとらしく語尾を伸ばす絵里に腹をたてながらも聞いてみた。


「あのね、胡桃。雄也くんっていうのは……」



絵里によると、


雄也くんというのは、さっきのハンカチを拾ってくれた男の子。

中学のころから女の子にモテモテで、好きにならなかった人はいないくらい。

そして、同時に数十人と付き合ったり、飽きたら捨てる、の繰り返しだったりしたらしい。

そんなタラシな最低男の何がいいのかわからないけど、絵里いわく、そこがいいらしい。


あたしはそんなタラシな男、大っ嫌いだけどね!