「おい、お前」



「おい!」


「胡桃、呼ばれてるよ?」


え、あたし?

勢いよく振り返ったあたしの目にうつったのは、制服を着崩して、ピアスをつけていて、髪がすこし茶色くて、ビックリするほど整った、まさに美青年のお手本!みたいな人だった。


「は、はい。なんですか?」



「ぼーっとしてんじゃねぇよ。これ、落としただろ」

彼はダルそうに舌打ちをすると、ピンク色のハンカチを差し出した。


「あ、ありがと」

初対面でいきなりお前呼ばわりするなんて

と思いながらも拾ってくれたからそんなことは言えない。

しかも、この人めっちゃあたしのこと睨んでない!?