アリサが自分を赤で塗り固めているのは、弱さを見せないため。
誰よりも寂しがりやで、泣き虫な、弱い自分を悟られないため。
そうやって自分を守っていなきゃ、壊れてしまうから。
真っ赤な厚い壁で、周りの人を遮断していなきゃいけないと、思っているから。
そんな壁も、俺の前では意味がなくて。
こうやって俺を頼ってくれる。
親にも上手く甘えられないアリサが、俺にだけ見せてくれる顔。
それがたまらなく愛おしい。
「ねぇ…」
「ん?」
「赤、嫌い?」
「好きだよ」
そっとキスをして、頭を撫でる。
アリサなら、なんでもイイ。
赤とかそんなの気にしない。
なんて言われようと、俺は気にしないよ。
アリサが傷つくのは嫌だけど。
何度でも手を差し伸べる。
アリサの気が済むまで、ずっとこのままでイイよ。
何度でも、いくらでも、甘えていいから。