「緋音ちゃん、大丈夫??」

勝に言われて緋音はまあ、といいつつもどこか放っておけない様子だった。

「ねえ、勝。」

「ん?」

「ベランダ…いこ。」

3人くらい入るだろうベランダを指さして緋音はいった。

「う、うん…いいよ!!!!」

勝はおどろきながらもベランダに行った。








夜風が当たって気持ちよかった。
勝が何も言わない緋音を見ると緋音はまた目を閉じて顔をあげて風を受け止めていた。
しばらく勝がみとれてると緋音がいきなり口をあけた。

「あたしのせいなの。」

最初何のことを言っているのか分からないような顔をしていた勝だったが、大体わかるとすぐ顔を下に向けた。

「あたしのせいで、キリタニさん…」

「緋音ちゃんのせいなんかじゃないよ!!」


緋音ちゃんのせいじゃない。

そう言い聞かせるように勝はうつむいた。

「あたしね、怖かった」

「…」

「あたし、誘拐されたとき本当に怖くて、泣きたくて、叫びたかった。足も自信あるから逃げれるって思ってた。なのに、体が動かなかった…声が出なかった…。だから勝と朔みたらなんか安心しちゃって、気が遠くなった。だから、勝と朔に言いたいんだよね。」

緋音が外を見ながら言った。
いきなり緋音は振り向くと八重歯がかわいらしくみえるように笑った。



「ありがとう!!!朔もかっこよかったけど、勝がすごいかっこよく見えたよ!!!」


勝は驚いた。
そして、いつのまにか緋音を抱きしめていた。

「無事で良かった…本当に…よかった…」

なきながら緋音をだきしめた勝を、緋音は男のくせして泣くな!!といいながらも嬉しそうにしていた。