「わわわわわわわわわわわわ!!!」
バタバタッ!!!
勝が焦りながら降りてきた。
「やっべえ、遅刻!!!」
「おはよ、勝!!!」
「お、緋音ちゃん!!!いやー、今日の緋音ちゃんは一段と元気だねッ」
なんて、遅刻なのに緋音に言う勝。
「会社遅刻だよ!!」
ニコニコ笑顔なのは、朔から話を聞いたあとだからだろう。
「だった!!!なんかたべもんちょーだい!!!」
「はい!」
急いで渡されたのはなんと
「み、みかん?!」
何秒か見つめていたが、勝はありがとうと言って急いで走っていった。
「ったくー、勝ったら朝からカッコつけてるし…」
なにが今日は一段と元気だね!!だよ…と言った緋音にマスターはなぜかオレンジジュースを渡した。
「あいつなりにお前を気遣ってたんじゃねえか?」
コーヒーをのみながらマスターが言った。
「どーゆーこと?」
「お前が昨日銃で撃たれた死体を見て倒れただろ。その事を思い出させないようにするにはああ言う言い方しかできなかったんだよ」
「でも、普通に…」
「じゃあ、いきなり気分良くなったみたいだね、なんて言われたらどおだ?」
緋音はハッとした。
「思い出しちゃう…」
「男ってのはな、不器用なんだよ。特にあいつに関してはな、色々あったんだよ」
その『色々』というのが少し気になったが、緋音はあえて聞かなかった。
「マスター…」
「ん?なんだ?」
「ちょっと散歩してくる」
「…んー…」
「大丈夫、そんな遠くには行かないよ」
「わかった、すぐ帰ってこいよ。それと、大門といけ!!」
「はーい」
緋音は外に出て空気を吸った。
「ぷはあー!!きっもちいい!!」
大門を呼ばずに出てきた緋音。
携帯を持ってきてるから、と言う理由で大門を呼ばなかった。
「なにかあれば連絡すればいいしね!!」
時計は2:00を指していた。