緋音と朔と勝は、緋音の学校にしばらくの間学校を休むと伝えに行った。
「大変お待たせいたしまして誠に申し訳ございません。」
深々と礼をした女、中山つぼみという緋音の担任は顔をあげた瞬間まず驚いた。
緋音の両側にイケメンの男が守るように立っていたからだ。
二人して背が高いから、すごい迫力だろう。
しかし、中山は勝の方を見て少し心配そうな顔をした。
「あ、あのー…緋音さんに何かありましたか?」
担任がそう聞く理由は幾つかあった、が、多分…いや、絶対に勝の赤く晴れ上がった頬を見て言ったのだろう。
出る前、勝が緋音の胸が自分に当たっているという発言をしたがために緋音に何発ものビンタをくらったのだ。
「む、胸が当たってます//////////」
その場の空気が、時が、なにもかもが一瞬止まったようだった。
緋音の最初の一発目のビンタで、再び時が動き始めた。
「ふざけんな!!!この、ばか、あほ、くそ、エロ、変態、ぶた!!!」
最後の言葉はよく意味がわからないが、一言いう度にものすごく強いが小さな手が勝の頬に当たった。
「いや、ひがうんふよ!!ほひゃのりふうへす」
あまり、というより、全然喋れなくなっていた。
そんな勝をみて、朔がため息をつきながら代わりに言った。
「緋音をしばらくの間学校を休ませます。」
「え?なぜです?!」
理由をどういえばいいか直前まで悩んでいた。
病気だとしたらかならず見舞いに来るだろう、しかし、それでは病気でないことがバレてしまう。
だからといって、捜査状況を話すわけにはいかない。
誰が組織とつながっているのか誰もわからないのだ。
「というより、あなた方は一体誰なんですか?もし、八神さんになにか悪いことをしている方でしたらすぐ警察に…」
「いやいや、つぼみ先生、ちがいますよ!!この人たちは…そのー…」
「「兄です!!」」
声を揃えて朔と勝が言った。
「お兄さん…?でも、お兄さんってたしかいなかったわよね?」
「血の繋がっていないもので…」
朔が言った。
確かに朔は緋音と戸籍上では兄弟関係にあたるが、勝は全く関係がない。
その違和感もあって緋音は勝の方を中山にバレないようにちらりと見た。
「緋音をしばらく僕たちのほうで預かることになったので、しばらくやすませたいのですが、よろしいですかね?」
おそらく、朔が礼儀正しく、かっこよく、中山に対していったのが決め手だったのだろう。中山は顔を火照らせながら緋音の休学を認めた。