「大変です!!!」
あの麻薬の取引事件から3日たった朝、寝室で寝ていた朔たちのもとに連絡が来た。
「んんー…なんだよ…」
眠いながらも起きようと体を伸ばした朔に大門が一階からドタドタと音を立てながら登ってきた。
朔と勝の部屋へまっすぐと走ってきた大門の表情が、この報告が決していい報告ではないことをものがたっていた。
「大門ー…まだ6:00じゃんかー…」
特別刑事課は最低でも9:00までについておけばいいため、普段は7:30頃におきている。
時計を見てまた寝ようとした勝の頭をいつの間にか後ろに立っていた凛子がグーで思い切り殴った。
「いっだあーーーーー!!!」
「おきろっていわれたらおきなさいよ」
「うっせー…な…って…」
勝が言い返そうとした時には凛子はすでに鬼になっていた。
「ガキ…だまってきけや」
「はい…」
凛子の怖い様子にその場にいたみんなが固まった。
「んで、大門、なんなんだよ?」
「あ!そ、それが、今小野寺さんから連絡が来たんですけど…組織の人間がみんな自殺したと…」
「「「自殺?!?!」」」
3日前の麻薬取引事件で、喧嘩をしながらも朔と勝が捕まえた組織の1人をはじめ、捕まった組織の人間全員が取り調べ室で自殺したのだ。
「自殺…って、どうやって自殺ができるんだよ!」
「それが…あらかじめ用意していた青酸カリ入りのカプセルを歯の中に入れてあったらしく、それを取り調べ室で自分達で勝手に飲んだらしいです。」
「そんな…まだ組織の事聞き出していないのに…くそ!!!」
勝が壁を思い切り蹴った。
その音で起きたのか隣の部屋の緋音までが起きてきた。
「あれー?…みんな朝からどうしたのー?」
フワフワした感じでやってきた緋音に今、組織の事を話そうか迷った朔たちだったが結局は、
「いやー、勝がさー…」
なんて、凛子がいい始め、緋音はその事実を知らないでいた。
「緋音、とりあえず学校いきなさい。私が連れていくから。」
「え…だってあたし行きたくないよ…あんなことあったあとなのに…」
緋音の言い分もわかる。
武藤の死体をみつけてからというもの、次から次へと動きを見せてきた組織。
それに、緋音の警護も前より念入りになっているから緋音にとっては本当に不安だ。
組織が緋音をおっている理由、そもそも、緋音が狙われていること自体を緋音自身が知らないのだ。だからって、朔たちが緋音に『お前は狙われている』といったところで緋音がパニックになるだけだ。
そうなると緋音の精神状態が危なくなるから言わないのだ。
「そうだな。しばらくの間はやめとこう。」
「え?!」
朔の言葉になぜか驚いた緋音。
「なんだよ、いきたいのかよ?」
「いや、ちがうちがう!!!ただ朔がいかなくていいっていったのが…」
「危険だしな。」
「気味悪い…っておもっただけ。あー、こわこわ…」
「おい!おまっ、しばくぞ!!!」
「キャーッ!!!勝ー!!!たすけてー!!!」
「おわッ//////////あ、緋音ちゃん…」
「なに?まもりなさいよー!!!」
「いや、そーじゃなくて…」
「なによ!!!」
「む、胸が当たってます…//////////」