「お前、なにいってんの?」
「もうコウのこと好きじゃない。だから別れて。」
コウの顔がどんどん険しくなっていく
それに比例して増す胸の痛み
「それ本気?」
コウの声が低くなる
「うん」
「ふざけんなよ!!」
ギリッ
「いたっ……」
コウの手が私の腕を強く掴んだ
「……好きな人ができたの」
「は?」
好きな人なんていない
コウ以外に好きな人なんていない
だけど言葉は止まらない
わたしは震える唇をぎゅっと噛んだ
「おねがい、もうかかわらないで」
わたしはコウの手を振り払って走った
「ふぇっ……」
こらえていた気持ちが溢れ出す
ほんとは離れたくない
コウの側で笑っていたい
ずっと私を抱きしめて欲しい
「ふぇっ……ぐすっ…」
でも離れなきゃいけない
「なんで……」
コウの未来のためだから
「私死んじゃうの……」
ぐしゃぐしゃに握りしめた『ガン』と書かれた診断書にぽたぽたと涙が流れ落ちた