「あのな、愛空」
「……?はい」
「……俺、自分が思っとる以上に独占欲強いかもしれん」
「え……?」
榎本くんの低くて透き通った声が、耳元で聞こえてドキドキ胸が高鳴る。
今、榎本くんに抱きしめられていることを忘れてしまうほどに、彼の匂いと声と温もりに夢中になってしまっていた。
「……アホみたいやんな。愛空があの田中ってヤツと少し話しとるぐらいで、めっちゃ腹立って……どんだけ俺、嫉妬深いねんってな」
あはは、と笑いながら話す榎本くんだけど、なんだか力なく笑っているという感じで……。
「それは……榎本くんの本心、ですか?」
私は無意識に、そんなことを聞いていた。
榎本くんが私を本当に、本気で、好きなのか知りたくて……。
なんでだろう、榎本くんが本気でも本気じゃなくても、私には関係ないはずなのに……。
「……おう。俺、愛空のこと誰よりも好きな自信ある」
「……っ」
今まで誰かに真正面から『好き』って言われたことがなかったからかな?
顔が熱くて胸のドキドキがすごくて、頭がボーっとする。
時間が止まったように、周りの音なんてなにも聞こえなくなって……。
まるで2人だけの世界に入り込んだような感覚。