「えーっと……さ、さっき来たばっかりですよ!」
「そ、そうか……」
榎本くんは少しホッとした表情をした。
よかった……私、ウソつくの下手だからバレるかと思った。
「あ、あの!一緒にお弁当食べましょう!」
「…………」
「あ、もしかしてお弁当箱、教室ですか?それなら取りに……わっ!」
ウソだってバレないように必死に話す私を、榎本くんは抱きしめた。
「ごめんな」
「え……?」
「さっき。腕、痛かったやろ?」
優しい声と口調でそう言って、私を抱きしめる力を少し弱めた。
「だ、大丈夫です!全然気にしてないので!」
榎本くんの腕はたくましくて優しくて……そして制服の匂いはすごく安心した。