「なる程ねぇ――」


横目で鍵と彼を眺め、納得するりおん――。


「お母さんが、椿ヶ丘の卒業生でさ――」


先の彼の問いに、ぽつりとりおんは言う――。


「まぁ、テルの言う通り皇華月でも良かったんだけど、何となくお母さんが通ってた椿ヶ丘ってどんな所なんだろうって思ったら、気持ちがこっちに傾いちゃって――えへへっ――」


照れと、動機の「不純」さを隠す様に笑い、右手でりおんはおでこを擦る――。




魔法少女――冗談にも程があると始めは懐疑的だった彼も、りおんが「ステッキさん」と呼ぶ相棒の先端をドアノブに向け施錠、非施錠を繰り返したり、少しだけ宙に浮き「ほらね」などと自らの存在を可愛げに正当化する姿を見ていると、魔法少女「設定」も状況も納得せざるを得なかった――。


では、ここで何をしていたのかと彼が訊ねると、ここから中軌道領域まで飛んで「ダークエネルギー」なる人類の敵を壊滅してきた――それが魔法少女のお仕事なのだと瞳を輝かす――。


登校時に出撃要請があった場合、この目立たない屋上からの出撃が都合がいいらしい――。


そして、彼とりおんは「邂逅」した――。