彼の脅かしに驚きの声を上げ、尻餅をつく女生徒――。
「あいたたたぁ――」
冷たい床に打ち付けた臀部を右手で摩りながら、彼女は起き上がる――。
彼は困惑した――「女生徒」である筈の彼女は制服姿ではない――。
髪は両側お団子仕様とリボンがあしらわれ、うっすらと施されたメイク――。
普段の出で立ちとは異なるものの、幾度かマリネと楽しげに会話を交わしている彼女の雰囲気と風景には見覚えがあった――。
その会話も、アニメや漫画、ドラマのネタが殆どで、彼の理解の範疇を越える――。
極めつけは、何だかパッとしないチアガール風の「衣装」を纏い、左手には魔法少女ものの必須アイテムの乙女チックな「棒状」の「相棒」をいとおしく握る、違和感たっぷりの趣――。
まして、チア部など存在しないし、この「楽園」に立ち入れるのは彼だけ――。
「あっ――見た――」
「あ、あぁ、見ちゃったな――何とも微妙な格好で――コスプレ部とかあるのかな――」
意外にも冷静な彼女の問いに、彼は頷き言い、そういう部があるのかと困惑が抜けきらないまま問い返す――。
「くくっ――」