「また逢う事もあるでしょう――その時は、あなたじゃないかもしれないけれど――」
「ふふふっ――」
意味深な笑みを残し、女は消えた――。
「ふぅー――」
再びベンチに座ったルナは、ちょこんと両膝に丸めた両拳を置き、顔を上げ月をしばらく眺めた――。
彼女は何者なのか――。
本当にさっきまで会話を交わしていたのか――。
存在していたのか――。
自分の「闇」が産み出した幻影なのか――。
こう在りたいという、もう一人の自分なのか――。
月を見て、星を眺めていても求める答えは得られない――。
が、得られない事で落ち込むという気持ちでもない――。
女の「贈り物」の効用なのか、心が踊り、魂が覚醒した様な言い知れぬ高揚感が躰を駆け巡り、血が濃度を上げ、快楽中枢を刺激する――。
「心地良い――」
無意識に呟いたルナの悦びの瞳は、何も言わない月を映し続けた――。
月曜日――。
ルナの思いもよらぬ「らしくない」画策により、彼に対する生徒会動議案は臨時生徒総会の投票で否決される――。
彼の「残留」が決定した――。