「それと――マリネに相談するのもやめなさい――」


最後の希望まで塞がれたルナ――。


別に女に従わなくていいのはわかってはいるのだが、ここは自ら答えを導き出さなければならない――。


贈り物、もしくは魂が囁いているのか――。


探していたパズルの1ピースの様に女の言葉が心に組み込まれ、ルナの表情が幾分和らぐ――。




「それじゃぁ――」


ルナの表情を見定めた女は、すっと背中を向け木々が聳え立つ出口へと向かう――。


もう空は濃い蒼色へ変貌し始め、星達が存在感を示し、夜の主が青白く発光している――。




「待って――あなた、クラスと名前は――」


ルナは立ち上がり、もう木々の中に消えようとしている女に訊いた――。


振り返った女は「うふっ」とはにかみ「そんな無粋な」と言わんばかりに可愛げに躰を捩らせ、無垢な少女を演じ、煙に巻く――。


仕草を見たルナは、女の多彩な表情、行動、思考を羨む――。


「あぁ、そうそう――あなたを疑う訳じゃないけれど、私の事を他の人間に話したら――」




「殺すわよ――」


そう言った女の躰を月明かりが妖しく照らし、夜行性の動物かの様に瞳が青白く光る――。