夢中になって遊んでいた「おもちゃ」に醒め、女はすくっと立ち上がる――。


「あなた、一体ここに何をしに来たの――これ以上私達の聖域を荒らさないで――」


甘美な贈り物に顔を火照らせながらも、捨てられた物の様な扱いに、ルナの声は怒りで弾み、木霊する――。


「聖域ですって――良く言うわ――」


「本当に困った子猫ちゃんねぇ――まぁいいわ、私に噛みつく勢いがあるのなら、他の事に想いをぶつけなさい――」


「でないと、確実にテルくんがいなくなってしまうわよ――そうなると、私の楽しみがなくなってしまうから退屈なのよねぇ――」


「だったら、あなたが何とかすればいいじゃ――」


「それが出来ればあなたにお願いなんてしないわよ――」


ルナを見下ろし、冷たい視線で睨み、悲壮感さえ漂う女の呻く声が、空間の温度を下げる――。


「こうなってしまった状況下で最も効力のある手札は、あなたが持っている――それを使うのよ――」


「手札って、何――」


「甘えるんじゃないわよ――この週末でじっくり考える事ね――」


責められても手掛かりくらいは――ルナの小さな希望は閉ざされる――。