「別に私は百合属性ではないわよ――テルくんを奪おうとさえして画策し、あなたの唇を奪って愉しんだ、淫らな女――」
女はルナの無防備で柔らかい唇の余韻をいとおしみながら、自らの行為を解説する――。
「あなたって人は――意味がわからないわ――」
「あら、初めてが女だった事がご不満なのかしら――」
ルナをあしらう女――。
「意味はあるわよ――贈り物と言ったでしょ――あなたは受け入れてしまった――それが現実――」
「それは、もうあなたの血、肉、意識、魂に憑き、消し去る事は不可能――ふふっ、まぁ別にすぐ死ぬ訳ではないから安心して――」
「だだのキスでしょ――意味深な言葉で私を惑わす、いえ、からかっているのかしら――」
「こんなの――あなたの気まぐれじゃない――」
「気まぐれ――そうね、気まぐれね――でも私の気まぐれはそう簡単には起こらないのだけれど――」
はぐらかしながらも、最初からルナを標的にし、事に及んだと伺わせる妖気を漂わせ、画策した目線を女は泳がす――。
凄みのある妖気に、ルナの心の芯は震え、一瞬息が詰まる――。
「さて、帰るわ――」