「何か妙案があるなら、教えてくれよ――」


「そんなものは、ないわ――」


期待を持たせつつ、谷底へ落とすサユリの物言いと視線――。



「こんな事になったのも、生徒会長のミレイと、副会長の琴音による茶番劇でしょ――」


「そうなのか――確かに、息の合った動議の進行だったな――」


「今思えば、動議ありきの今日の生徒会とも言えなくもないか――」


彼は悔しいため息を落とし、瞳の焦点が自然と湯呑みの中で揺らめく液体に合わさってゆく――。




「ミレイに、してやられたわね――」


サユリの言葉が、彼を覆う負で否定的な感情の膜を、鋭く切り裂いた――。



「じゃあ、会長と副会長は否定派なのか――」


彼は、自身の心に問う様に思いを発し、同時にサユリに訊ねた――。


「さぁ、どうかしら――でも、今時珍しい動議案件が出たって事は、否定派、肯定派、どちらかの勢力が裏で動いたんでしょうね――」


的を射た推理を披露し、渇いた喉をお茶で潤すサユリ――。


「まぁ、あのロリ会長も中々に腹黒い女だから――」


一瞬、彼の中に同族嫌悪という言葉が浮かんだ――。