「ふふふっ、面白くなってきたわね――」
茜も、ルナも、彼も、「失意」の内に生徒会室を後にした――。
待っていたかの様に、ファンクラブがルナを、彼と茜から引き剥がし、何処かへと「連行」しようとする――。
戸惑いながらも、二人に何かを言いたそうなルナを阻み、「彼女達」は勝ち誇った表情で彼を「見下げ」、あくまで淑女らしく優雅にルナを包み込み、去ってゆく――。
「茜――今日は先に帰ってくれないか――」
「うん、わかった――」
何処か可愛らしく茜は言った――。
「考えたい事があるから――」
などと、次の言葉を用意していた彼の意表を突き、「物わかりのいい」茜は、場の空気、温度、漂う念を解析して、彼の望む言葉を紡ぎ、お下げ髪を切なく揺らし、自分の不甲斐なさをも滲ます歩き方で、彼の前から消えてゆく――。
茜を見送った彼の意識と足は、自然にある場所へと向かう――。
考えたい事があるのも本心だが、磁力で引き寄せられる様に向かった先が、あの部室だった――。
サユリは笑い、そして先の言葉を言った――。
「サユリ、いたな――」