「動議案が提出された以上、まずはこの生徒会で直ちに投票を行い、可決された場合のみ、臨時生徒総会で全生徒の真意を問う――」



「茜さんも、この段取りは承知していますね――」


「はい――それは――」


脅しにも感じるミレイの物言いに、短く、悔しく言う茜――。


「では琴音さん――最終的な案を――」


「はい、会長――」


「彼には、椿ヶ丘を退学して頂き、締結書に従い、共学校への無条件編入を勧める――それが、彼にも学院にも互いに良い結果をもたらす――」


「独りの寂しさ、怪訝な視線、言い知れぬ圧力――全てから解放されたなら、どんなに素晴らしい未来が広がり、彼の高校生活は明るさに満ちるのか――」


「そう想った時、ここに独り留まるよりも――勝手とは承知しつつ、私は共同提案者達と共に、この動議を提案するに至りました――」


「なる程――副会長と共同提案者による動議案は確かに承りました――」


全てが敷かれたレールの上をスムーズに進んでゆく紋切り型のやり取り――。



台本通りの、会長と副会長による「睨み」の効いた芝居――誰も、「演出」など施せる筈もない――。