「これが、署名、捺印された文書です――」


クリアファイルから、締結書を取り出し、委員会メンバーに示す琴音――。



彼の筆跡、印章――本物の締結書――。




「動議とはいえ、少し横暴ではないでしょうか――」



茜が、良き委員長のリミッターを解除し、抗議する――。


「座って下さい、茜さん――」


ミレイが、冷たい視線の槍を突き刺し、茜の反抗を抑制する――。


抗えず、着席する茜――。



「久しく行われる事のなかった緊急動議ですが、正式な手続きを経ての副会長の動議案提出は、横暴でも何でもありませんよ――」


「何かを変えたい、良くしたい――その意思を持つ生徒会委員なら誰でも動議案を提出できるのです――それを、横暴と表現するのは私達、生徒会に対する冒涜とも――」


ミレイはそこで言葉を止めた――。



「わ、私は、そんなつもりで――」


「顔を上げて下さい――茜さんを責めて言っているのではありません――」


「茜さんの生徒会活動における献身ぶりには、私も、副会長も感銘を受けているのですよ――」


責め、褒められる――瞳を焦がす茜――。